気仙沼を訪問〜震災から10年目〜
東北の会社に就職したので東北で工場実習中のさいてよでございます。
以前から訪問したかった旧気仙沼向洋高校に行ってきたのでレポしたいと思います。
旧気仙沼向洋高校について
気仙沼向洋高校は海岸から500mのところに建てられていましたが、2011年3月11日の東日本大震災で被災し、大津波に飲み込まれました。
現在は2018年に高台での新校舎が完成し、旧校舎は気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館として東日本大震災の被害の大きさ、津波の恐ろしさを伝えるために被災時のまま残されています。
https://kesennuma-kanko.jp/densyokan_0310open/
何もない田舎、では無かった気仙沼
旧向洋高校に車で向かっていると目につくのは工事中の堤防、そして津波が押し寄せたエリアであることを示す看板でした。
そのまま進むと何もない原っぱに佇む校舎(とパークゴルフ場)、そして岩井崎があります。
岩井崎
津波によって傾けられた看板や杭
かつては港町としてさまざまな建物が建っていたのでした。
https://recorder311.smt.jp/blog/34014/
シアターで改めて津波の映像を見ましたが、今立っている場所に12mもの津波が襲ってきたという事実がより現実的に感じられ、テレビで見ていただけの他人事から一歩先の経験にすることができたと思います。
10年間止まったままの場所
1階
とても高校だったとは思えない光景
3階には津波で運ばれてきた自動車が
2011年の文字
薙ぎ倒されたデスクトップPC
手前の防音材は冷凍工場が激突した際に飛散した物
4階
冷凍工場が激突し破損した壁
12mの津波が残した痕跡
屋上
体育館の屋根は流されている
津波により張り付いたトタン
コンクリートすら粉砕している
津波により内陸側に倒れたポール
津波の到達したところまで配管が湾曲している
あとがき
震災遺構を生で見て、周辺の復興の様子を見ると震災から10年も経ったのではなく、まだ10年しか経っていないと改めて実感しました。
福島とはまた違った復興の難しさがあるのだと思いつつ、東北の会社に勤める人間として色々考えさせられました。
東北にいられるうちに他の被災地も訪れたいと思います。
ものづくりコンペティションにおける設計
ご無沙汰しております。
東京理科大で学生フォーミュラに参加し、某自動車ボデーメーカーに就職したさいてよです。
新型コロナ渦において大会もなく大学で製作も出来ていない現状を鑑みて、現役の方々に向けて自分なりにできることは無いかと考えた結果、自分が大学4年間学生フォーミュラに参加し、自動車メーカーに就職して研修を受ける中で感じた設計に対する考え方や手法についてここで記すことで、現役のみなさんの学生フォーミュラ活動や就活に多少なりとも貢献できるのではないかと考えたので拙い文章でまとめていきたいと思います。
ここで書くのはあくまで勝つためのものではなくものづくりコンペティションとして求められているであろうと私の考えていることに対する文章であると予めお断りさせていただきます。
設計とは目標を達成できる形状を描くこと
私が社会人、自動車メーカーの新入社員として学んだ設計の在り方とは目標を達成できる線を引く、そしてそれを説明できるだけの原理原則に基づいた根拠を自分なりに用意することであるということです。
簡単に言えば根拠に基づいて寸法、材料を決めるということです。一見当たり前のことですが、すべての寸法においてそれができている人はあまり居ないと思います。なんとなく点と点を線で結ぶ、なんとなく前の年のまま流用するなんていう部品はいくつもあるのではないでしょうか。
目標を決めよう
チームの目標はなんでしょう。優勝ですか?入賞ですか?全種目完走ですか?車検通過ですか?こういった目標はどのチームでも持っていると思います。
では、自パート、担当部品の目標はなんですか?なんとなく考えてはいるかもしれませんが、定量的な数値(重量、剛性、DF量etc...)を決められているでしょうか。
なぜ定量的な数値が必要であるかというと、部品を設計し、作り、それの性能を評価する時に出てくるアウトプットは剛性であろうが質量であろうが数字だからです。
数値化のヒントとしては前年度大会でのタイムや自チームの車両を基準にしてみたり、他のチームの車両を参考にしたり思い切って他チームやスポンサー、FAに質問してみたりするというものがあります。前年度大会での天候やドライバーの習熟度、他チームの伸び代も忘れずに。
目標を達成できる形状にするためには目標を部品毎の必要性能を明確にする必要があります。
では、部品毎の必要性能とは何なのでしょうか。部品とはシステムを構成する一部位であり、車両を構成する一部位でもあります。つまり、車両の目標を達成するという目標に対してシステム毎に必要性能を割り振り、それを達成するためにパートリーダーが部品毎にそれぞれ"成長"させる必要がある訳です。その"成長"こそが部品毎の必要性能となります。部品毎の成長しろは前年度車両を基準にするも良し、他チームの性能を聞いて計算するも良しです。前年度の部品のCADでの測定値と実物の実測値を比較して補正値を決められればよりよいCAD設計ができると思います。
そして、その目標性能を達成できる線を描いて形を決めることこそが設計となります。
定量的な目標を決めれば評価もできる
ものづくりコンペティションにおいて、目標を設定した以上は実際に生み出したアウトプットが目標を達成できたかを説明できる必要があります。もし、車両全体の目標しか決めていなかったとしたら1つの部品が目標性能を満たしているのかを説明することは難しいでしょう。しかし、1部品まで目標を決めていることによって重量、剛性、強度を測定すれば根拠を持って説明することができます。
そしてシステムで測定し、車両全体で測定すれば性能が目標を満たしているかを評価することができ、Vプロセスが完成する訳です。
測定方法については学FOBのその道のプロに任せたいと思います。
プロジェクト成功の鍵は「V」にあり〜品質管理の視点でみた開発の基本はV字モデル〜 | 投稿一覧 | ものさす monosus
デザインレポートを作り込め
これまでに書いてきたことを実践できればデザインレポートを書き上げるのに必要な材料はほとんど揃っていると思います。デザインレポートではVプロセス的思考を求められるため、Vプロセスを意識した文の構成、目標設定理由〜各パート、部品への落とし込み〜部品、パートごとの評価〜全体での評価と組み立てていけば良い評価を得られると思います。
ここらへんは静的交流会で実物をかき集めて自チームのものと比較して良いところをどんどん真似してレベルアップしていきましょう。ハイレベルなアウトプットを審査員に提出できればよりハイレベルなアドバイスをもらうことができると思います。
終わりに
目標を性能を達成しようと奮闘していると他パートの部品との干渉や加工における要件(作れる形状、材料の制限等)にぶち当たることがあると思います。そのときに大切なことはコミュニケーションと行動力です。
より良い車両を作るためには妥協するべきなのか、相手の部品をねじ曲げてまでも通した方が良いのか、他の加工先を探したりより高いお金を払った方が良いのかなど検討することは沢山あります。そういったときは一度立ち止まって考え、話し合い、素直に意見をぶつけてみることをお勧めします。自分では思いつかなかった考え方を知ることができ多方面から見ることができて部品のブラッシュアップに繋がるのではないでしょうか。
私はあくまで実務経験のない新入社員ですので、この記事を通してハイレベルなより完成度の高い設計指南書が生まれることを期待しつつここで筆を置かせていただきます。
東日本大震災から9年が経つ福島県富岡町に行ってみた
早起きしたのでこんなことをしていました。
卒論発表も無事終わったので福島県富岡町に来ています pic.twitter.com/CVKmeStAE0
— さいてよ🍮💎 (@thohashinda) 2020年2月8日
高速で3時間
目的地はここ
まあ道中で決めたんですけどね。
9年前は中学1年だったんですが今となっては社会人を目前にした大学4年生になってしまいました。
展示はこんな感じ
実際に現場で使われていた防護服等々
福島第一原発のジオラマ
水素爆発した原発内を探索したロボットたち
潜水服じゃなくて酸素を供給してくれる機械を積んだ防護服
資料館外の風景
個人的には資料館の周りの風景の方が資料館よりショッキングでした.
大通りに面したアトム寿司,他のテナントが入ることもなく放置
ホンダのディーラーもつぶれたまま
普通の公園にも放射線の線量計があります.
復興がまだまだ終わっていないことを感じさせるダンプカーたち
待ちゆく車の半分くらいがダンプカーでした.
道路工事や土地の修繕はまだまだ行われていましたね.
福島第二原発へに道はテロ対策で検問中
JR常磐線富岡駅
道も駐車場も工事中
駅の向こうでもショベルカーでほりほり
堤防でも作ってるのかな?
駅前に食堂
他の田舎駅にはない快適設備だけど電車1時間に一本の模様
常磐道は片側一車線,電車は1時間に1本,街に人もいない,働く場所もない
地方創生,被災地復興,その先に未来はあるのでしょうか.
上位チームはなぜ突然崩壊するのか
この記事は学生フォーミュラの現役学生、OB、審査委員などの関係者によって12/1から25日まで一日一記事づつリレーしていくアドベントカレンダーです。
前回の記事はサスボッチアスカチャンの弱小スポンサー交渉とカレーの話でした。
こんにちは,東京理科大学の学生フォーミュラチームで2018年大会にサスペンション設計とシャシー統括をして,2019大会でステアの設計をしていたさいてよです.チームリーダーだった人とよく間違えられますがあくまでシャシー統括です.
現在は卒論に追われながら2020大会に向け1年生の設計の面倒を見たり大黒ふ頭でYoutubeデビューしたりしています.(宣伝)
https://youtu.be/ft0v1SK6Zts?t=773
MR2はいいぞ.
テーマが重いですがアスカチャンがなかなかのハイテンションだったので,多少緩めで書きたいと思います.
はじめに
なぜこのテーマを選んだのかについて書きます.
一言でいえば
今まさに起きているからです.
部員の不足,設計製作の大幅な遅延,メンバーの失踪,やる気のあったOBの離脱等々…
去年の今頃は週一授業ニート生活をしていたらステア担当が失踪し,設計が降ってきた
なぁと思い出しましたが,今日まさにサス担当が失踪したそうです(死)
思い返せば自分の代から3年連続チームリーダーが変わったり代ごとに仲が悪いパートもあったりと火種はたくさんあったのかもしれません.
そろそろ本題に入りたいと思います.
チームの崩壊はなぜ起きたのか
チーム崩壊のトドメとなったのは部員の不足と失踪へのハードルが下がったことだと思います.我がチームでは例年メインの代がほぼすべての作業をこなしているという伝統(?)があり,1年生に設計や製作を任せる風土がほとんどありませんでした.(上の担当者が失踪した場合を除く)
そして,2020大会のチームでは2年生が4人だけという状態で代が変わりました.
Y国立大学さんやS工業大学さんはうまくそういった年を切り抜けていましたが,弊チームでは2019代での育成不足,1年生へのタスク分配の失敗によって今現在でもほとんど設計が進んでいないということになってしまいました.
原因を考えてみましょう.やはり,1年生が設計製作を担うことが分かっていた以上2年生だけでなく1年生の育成は必須かつ2年生も1年へのタスク分配を代替わりの前にするべきだったのだと思います.
過ぎたことにとやかく言っても仕方ないんですけどね()
さてこれからどうしよう
ヒントとしてメイン代が消えた班を受け持つ下級生の育成法があります.
ここ数年よくあったので経験が多いんですが,OBが面倒を見て前年の部品の悪かったところだけを修正した設計を下級生にさせるというものです.
スポンサーや大学の視線を考えるとここでほぼ達成できないような挑戦的なことをしてマシンが未完成,車検未通過などとなってしまうと次年度以降の活動も厳しくなってしまいます.そこで1年を捨てるとは言わないまでも勉強の年にして早期シェイクダウン!問題の洗い出し,次期マシンの構想を練って強くてニューゲーム状態でメイン代突入って魂胆ですね.
1人だったらそのパートの部品だけ早く完成してシェイクダウン待ち,次の代になっても担ぎ上げられてチームリーダーやらされて設計どころじゃないなんてことになりかねません.ですがたくさんいればうまくいくかもしれません.指導するOBが居ればの話ですが…
でも,結局はOBをやる気にさせる現役の熱意と働きかけが大切だと思います.老害は悪と言われて久しいのでやる気があってもOBが自らチームや設計に首を突っ込むことが難しくなっています,自分がそうなので(めんどくさいのもある)
なので現役の皆さんは積極的にダメ元でもOBにやってほしいことを投げてみましょう!
おわりに
チームの主役は現役生です.でも経験や知識を持ったOBはたくさんいます.
プライドとかいろいろあるかと思いますが部の存続の危機になったら下級生やOBを積極的に頼ってチームの存続,崩壊の阻止を試みてください.
本当にやりたいことを成し遂げるのは引退後でも可能なので.
おまけ
シェイクダウンと設計締切について持論を書きます.
チーム現状として毎年マシンのセッティングを決めて大会に持っていくところまでマシンを作るところまで到達できていないチームは設計を妥協してでも早めの設計凍結目標をたてて,早期シェイクダウンをするべきだと思います.外注部品なり製作に想像以上の時間を使ってしまうなり製作遅延の要因はありますが,早く設計しない限りクルマ和完成しません.ましてや未完成のクルマから問題点なんて見つからないので未完のクルマで大会に出ることは1年を無駄にするも同然です.
逆に前の年にポテンシャルを引き出せていたのならば設計に時間をかけるのもありだと思います.
あ,ドライバーがヘタクソなチームは絶対早期シェイクダウンですよ!!!
あとがき
こんな長文を書いたのはいつぶりでしょうか,つたない文章でごめんなさい.
気が向けばステアの設計や三面図についても書きたいと思っていますので期待しないで待っていてください.
以上,さいてよでした.